2021年4月1日には厚生労働省より「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」が発表されましたが、この中には「関係法令、地方公共団体の条例、ガイドライン等を遵守する事」との記述があり、今回、国土交通省からは、これらの法令、条例、ガイドラインの内、散骨時に守るべき海事関係法令を解説した文書が発表されました。
海洋散骨においては、その多くは船舶の利用を前提としておりますが、船舶の関連法令は複雑で、特に海上運送法や船舶法、船員法などについては、小型船舶操縦免許証の保有者であっても、良く知らない法律であると言えます。
しかし、これらの法律はとても重要で、もしも事故があった場合においても、知らなかったでは済まされません。
船舶の事故と言えば、2022年に起きた、北海道知床での事故を思い浮かべる方も多いかと思います。あの事故では、使用された船舶が旅客運航の資格を取得しており、また保険も付保されていましたが、旅客運航の資格を持たない船舶では保険も付保されていません。
今回の解説では、旅客を乗船させて事業を行う場合、許可もしくは届け出が必要になることや保険契約を締結しなければならないこと等が明記されています。
船舶に関する法律は難しく複雑なため、免許所有者であっても理解することは困難を要しますが、今回、海洋散骨に関する法令を国土交通省が一般の方々にも理解できるよう解説したことは、海洋散骨業界においても大きな前進につながることと思われます。
海洋散骨において使用される船舶は主に小型船舶であり、これを操縦している船長も、小型船舶操縦免許が必要とされますが、残念ながら小型船舶操縦免許証の教科書には、旅客運航や船員法などの記載はなく、これらの知識も無い方が多いと思います。
全国海洋散骨船協会が実施している「海洋散骨ディレクター」資格においては、海上交通のルール、使用する船舶の種類、特に旅客運航の資格についての正しい知識を身につけて頂く事、そして気象や天候の正しい判断に基づいて出航の可否を判断する事の重要性を教えています。
当協会は、法律に違反せず、周囲の方に迷惑をかけない安全で快適な散骨を提供できる海洋散骨ディレクターの育成に力を注いでいます。
今回国土交通省から発表された解説に記載された内容は、海洋散骨ディレクター資格の取得過程において、さらに詳しく具体的に説明し、海洋散骨ディレクターが正しい判断のもと、違法な船舶をチャーターすることが無いよう、必要な知識を身につけて頂きます。
国土交通省からこの解説が発表されたことは、当協会がこれまで続けてきた活動が正しかった事を改めて確認できる良い機会になったと感じています。
当協会では、今後も正しい知識を持った海洋散骨ディレクターの育成に努めてまいります。